先祖がオオカミである犬は肉食動物です。
野生の肉食動物は生き延びていくために種類を選ばず食べています。
しかし犬が人間社会で生活するようになってからは野生で生活している動物の肉を食べることもなくなりましたし、栄養バランスのとれたフードを食べるようになったため健康でいる反面、抵抗力が減っているのではないかと思われます。
そんな環境にいる犬は野生にいた頃の肉は食べられるのでしょうか?
そこで今回は犬が食べてもいい肉と与え方、調理法を紹介致します。
美味しいお肉を買った時は正しい調理法で愛犬にもおすそ分けしてあげて下さいね。
犬が食べてもいい肉の種類
犬が食べてもいい肉の殆どは人間が食べている肉です。
ですので基本的に食べてはいけない肉はないと言っていいでしょう。
それでは犬が食べてもいい肉と犬にとっても健康にいい部位を紹介します。
【牛肉】
牛肉は消化しやすいので内臓にやさしい肉です。
特にヒレやモモ肉は高タンパク、低脂質なのでおすすめです。
正肉だけではなくレバーやスジも与えて大丈夫です。
ただしレバーは柔らかくていいのですが、鉄分が多いので大量に与えないでください。
スジは簡単に噛み切れるのですが、噛み切れずに飲み込んだ場合、喉に詰まる危険があるので、小さくカットするようにしましょう。
高齢犬に与える場合は脂身を落としてから与えると胃腸に負担がかかりません。
【鶏肉】
良質なタンパク質を含み、ささみや胸肉は柔らかいので高齢犬にも安心して与えることができます。
特にささみは柔らかいだけではなく、カロリーも低いのでおすすめです。
鶏肉もレバーや砂肝も与えても大丈夫です。
砂肝を与える場合も丸ごと飲み込む場合があるので、小さくカットするかスライスしてあげましょう。
【豚肉】
豚肉はミネラル分が多いので、骨や歯の形成に効果があります。
幼犬の骨の形成だけではなく、高齢犬の骨や歯の維持にも効果があります。
豚肉は脂身が多い部分が多いので、ヒレなどの赤身を選ぶか与えすぎには気をつけましょう。
また豚肉の繊維は鶏、牛肉より硬いので細く裂いて与えるか繊維に対して直角に切るようにして与えましょう。
【羊肉】
羊肉は栄養バランスが非常にいいので、人間にとってもおすすめの肉です。
特にビタミンB群の含有率が高いので、体の各部位にエネルギーを送り体全体を健康に保ってくれます。
マトンも柔らかいのですがラム肉のほうがより柔らかいので、幼犬でも高齢犬でも安心して与える事ができます。
【鹿肉】
家庭で食べる機会がほとんどありませんが、ドッグフードに稀に含まれていることがあります。
高タンパク・低脂肪
食欲が増すだけではなく骨も丈夫にし、毛艶もよくなります。
スーパーで売られていることはほぼないので、購入の際は添加物を食べて育った鹿ではなく、ハンターが狩りをした食肉をそのまま加工した肉を選んでください。
そうすると食物アレルギーを持つワンちゃんでも安心して食べられます。
【鴨肉】
不飽和脂肪酸が含まれており、これは青魚の脂と同様、コレステロールを減らすのに適しています。
ビタミンB群は代謝を助けてくれます。
カリウムも含まれているので、利尿作用や血圧を下げる作用をします。
最近では犬社会でも成人病が増えてきているので、適した肉と言えるでしょう。
ただし、鴨肉の燻製のような加工品は避けましょう。
味が濃いだけではなく、味付けの調味料の中には犬が食べてはいけない食材が含まれている可能性がありますので、味を付けずに加工された肉を与えましょう。
【馬肉】
馬肉は高タンパク・低カロリーで、消化もスムーズなので積極的に取り入れるといいでしょう。
体内で合成されない必須アミノ酸がバランスよく含まれています。
なので犬だけではなく人にとってもいい食材と言えるでしょう。
そして馬肉が他の肉と違う点があるのですが、馬肉は生食が可能なのです。
これは馬は体温が高めなので、寄生虫があまり発生しないのです。
かと言って全くいないかと言えばそうではないので、スーパーなどで購入する場合は必ず生食用にしましょう。
生食がない場合は、肉のブロックの中心がマイナス20℃で48時間以上冷凍した後であれば、寄生虫も死滅しますので、生食が可能になります。
【猪肉】
猪肉も不飽和脂肪酸が含まれています。
ビタミンB12が多く、豚肉の4倍も含まれています。
これは三大栄養素の代謝を助ける働きがあります。
吸収のよいヘム鉄も含まれているので赤血球が酸素を運ぶ手助けをしてくれます。
猪肉を時々与えてたくさん運動をすれば、健康な体を維持することができます。
この肉、特に野生の猪は寄生虫やウイルスを持っている可能性が非常に高いので、十分に加熱しましょう。
また猪肉も購入の際はプロが加工した、冷凍ものを選びましょう。
肉を与え方
人間が食べられる肉は犬にも与えてもいいと言う事が分かりましたが、ではどの様な調理法で与えればいいのでしょうか?
・必ず加熱をする
一部例外もありますが、殆どの肉は加熱処理をしましょう。
肉には寄生虫が多くいるので、それを与えると下痢や嘔吐の原因になります。
なので中までしっかりと火が通るまで加熱するようにしてください。
・脂身は落とす
少量の脂であれば大丈夫ですが、トンカツ用の肉の端の脂や、バラ肉の脂などは肉食の犬でも胃腸に負担がかかるので落とすようにしましょう。
全て落とし切れなくても煮込めば脂も落ちますし、焼くと更に脂が落ちます。
細かく刻んだりミンチを加熱するのが一番脂が落ちるでしょう。
・骨に注意する
骨つきの肉と言えば、鶏肉と豚肉のスペアリブを思い出しますよね。
スペアリブは脂が多くて避けてほしいのですが、鶏肉の骨は柔らかくて軟骨は人間でも簡単に噛めます。
しかし犬は完全に噛み砕いてから飲み込むと言うことが出来ないので、噛んだ後にのどや胃腸に刺さる恐れがあるので、骨は取り除いてから与えましょう。
・味付けはダメです
人間にしてみると味のない肉は美味しくないと思うでしょう。
しかし犬だけではなく、動物の世界に調味料なんて存在しません。
甘味・旨味は食材そのもので感じているのです。
そのような動物に塩味のある肉を与えると腎臓の病気になる可能性が高くなりますので、調味料は控えましょう。
・与える量は少量を時々が理想です
美味しい肉を見るとついガッツリ食べたくなりますよね。
自分がそう思うので愛犬にもたくさんあげたくなるところですが、与える量は少量で十分なのです。
与える肉だけではなく、フードも与えているわけですからカロリーオーバーになります。
ではフードを抜いて肉だけにすればと思うかもしれませんが、そうすると今度は栄養バランスが崩れます。
なので肉は少量で時々与えるくらいにするのが理想的です。
フードを食べた後に与えてもいいですし、ふりかけの様にフードにトッピングするのもいいと思います。
以上のような方法で与えれば安全に食べられるので、ぜひ実践してください。
まとめ
いかがでしたか?
野生で生活していた犬なので、生の肉も大丈夫だと思っていた飼い主さんもいると思います。
動物園にいるライオンの食事も生肉ですしね。
しかし昔と違って土壌や飼料にも人工的なものが含まれていますし、寄生虫の種類や体に与える害も増えてきています。
なので安全の為、そして加熱することによって余分な脂も減るので、犬の健康を考えて加熱処理は忘れずにするようにしてください。
そして骨を取り除いたり、食べやすい大きさにするなどのワンちゃんへの配慮も忘れずにしましょう。