小学校の理科の時間に「細胞分裂」と言うことを習ったと思います。
細胞が分裂することによって数を増やし、また分裂を繰り返し私たちは生存しています。
また「新陳代謝」と言う言葉もよく聞くと思いますが、これも細胞分裂によって古い細胞がなくなり、新しい細胞が増えていくことです。
細胞の中には核と言うものがあり、その中に染色体があってこの染色体が分裂した新した細胞に分裂前の情報を移すのです。
パソコンで言えばコピー&ペーストをした後に更新すると言う感じです。
ところでこの染色体の端に「テロメア」と言う部分があるのを知っていましたか?
私もよく知らなかったのですが、このテロメアの長さと寿命が比例するらしいのです。
しかもこの長さは生活の仕方によっては急激に短くなってしまうのです。
つまりテロメアを短くしてしまう生活を送り続けていると、寿命が縮まると言うことなのです。
高齢者だけでなく若い方もテロメアの存在を知っておけば、早い時期から老化を遅らせ、寿命を延ばすことができます。
そこで今回は私も興味を持ったテロメアについて色々調べたので紹介いたします。
テロメアの存在とその特徴
染色体の先端にあるテロメアの役目は染色体を保護することなのです。
テロメアは染色体の遺伝情報にキズがつかないようにしているのですが、細胞分裂を繰り返すうちに徐々に短くなっていくのです。
そしてテロメアが通常の約半分の長さになると染色体を保護しきれなくなるのでこの細胞は分裂を止めてしまいます。
なぜかと言うと、半分よりも短い状態で細胞分裂をした場合、染色体が保護されていない状態で分裂するので、正常な分裂ができなくなるのです。
この様な異常な細胞が存在すると、体の形成にも異常が現れるので、ここで細胞分裂を終えるのです。
テロメアの短い人は心臓病やがんを発症する確立が高く、また血糖値の上昇を下げるインスリンの動きも悪くなるので、糖尿病にもなり易いと言われています。
それではなぜテロメアは短くなってしまうのでしょうか?
次の章で紹介したいと思います。
テロメアを短くしてしまう要因
テロメアを短くする要因は一般的に言われる寿命を縮める要因とほぼ同じです。
①ストレス
自分の意図としない事柄に対し、気分を害することが続く。
②怒り、心配性、悲観的な感情
すぐに感情が悪い方向に高ぶる。
完璧を求めるあまり、ミスや失敗がないか何度も思い返している。
悲しいことをいつまでも引きずったり、それによって自分をいつまでも責める。
③喫煙
吸うこと自体健康を害するが、手が寂しいと言う様な状況でもつい吸ってしまう。
④肥満傾向
健康診断ではいつも指摘を受ける。
体重だけではなく内臓脂肪の数値が多い人も該当する。
この様にテロメアは生活スタイルが長さを大きく左右すると言うことなのです。
今まで寿命を縮める生活をしてきた人にとっては心配になってしまう事柄ですが、カリフォルニア大学の研究で、食事と運動、そしてストレス、これらを管理することによってテロメアは伸ばせることが示されたそうです。
それではどの様な管理をすればテロメアを伸ばすことができるのでしょうか?
テロメアの長さを維持させる・伸ばす方法
食事の改善
テロメアを伸ばす食事の基本は抗酸化作用の高い食材を多く摂るのがいいと言われています。
抗酸化作用と言えば抵抗力をつけ、がん予防に効く食材です。
魚介類などに含まれるオメガ脂肪酸
オメガ3脂肪酸は体の細胞膜や核を構成する働きがあり、活動エネルギーとしても使われています。
青魚、鮭、マグロ、カニなどが挙げられます。
これらの食材は血圧を下げたり、血栓を予防するなどの効果があります。
青魚に含まれるDHAは脳の働きをよくし記憶力の向上に効果ありますし、EPAは動脈硬化や心筋梗塞の予防にもなります。
つまり、健康にいいとされる食材はテロメアを伸ばすための食材と言うわけです。
ビタミンD
卵や牛乳などに多く含まれ、ビタミンDが血液に多く含まれていると死亡率が低くなります。
血液に多く含まれているといいと言うのは、血流ががよくなり、またキレイな血であると酸素や栄養もスムーズに運ばれ新陳代謝もよくなると言うことです。
イソフラボン
イソフラボンと言えば大豆です。
女性が体調が悪いと言えば大豆製品を食べなさいとよく言われるのは、女性ホルモンに似ている栄養素なので、女性の老化防止にもいいとされています。
大豆製品と言えば豆腐、油揚げ、そして納豆は発酵食品なので更にお勧めの食材です。
植物性食品
質の良いたんぱく質や油だけでは栄養のバランスが偏ります。
また体内で余った脂質なども体外へ排出してくれますので、血栓予防にもなります。
抗酸化作用の強い野菜と言えば、色の濃いカボチャ、人参、ブロッコリーなどがあげられます。
果物では柑橘系やいちご、キウイがいいですね。
これらの食材に限らず植物性食品はたっぷりと食べるようにしましょう。
低糖質、低脂肪、低カロリー、低GI値
ファーストフードやジャンクフードを食べ続けている人は要注意です。
これらを多く摂り続けていると体内にあるブドウ糖の代謝を悪くしたり、血糖値の上昇を抑えてくれるインスリンの働きも悪くなります。
これによって細胞の老化が速まり、テロメアの長さもどんどん短くなるのです。
血糖値の上昇を遅くするには、炭水化物を減らすか低GI値の食品を食べましょう。
白米ではなく玄米、小麦粉ではなくライ麦、全粒粉など未精製の食材がGI値が低いのでおすすめです。
未精製の食材は血糖値の上昇を抑えるだけではなく、ミネラルなども摂れるので、健康には非常にいい食材なのです。
スーパーでも玄米、発芽玄米、ライ麦パンなども売られているのでぜひ未精製食品を摂るようにしてみましょう。
食事に関する注意点
体にいい食材だからと言ってたくさん食べればいいと言う訳ではありません。
摂取カロリーが多くなると体重が増えるだけではなく、内臓の色んな部分に負担がかかります。
これによって成人病や糖尿病になる可能性も高くなります。
スペインのがんセンターの研究では、カロリー摂取量を40%減らす食生活を続けると通常の食生活を続けた場合よりも、より長いテロメアを維持し、寿命も20%延びる と言う事が分かりました。
昔からよく言われているように腹八分目を心がけるようにしてみましょう。
運動をする習慣
有酸素運動を1日30分、これを週6日は行いましょう。
性別や年齢、生活強度によっては、多少違ってきます。
以前は有酸素運動は30分継続しなくては効果はないと言われていましたが、継続をしなくても効果があることがわかりました。
①ウォーキング
例えば20分ウォーキングをする時も10分休憩した後、また20分続けると言う運動方法でも効果はありますので、無理せずに行いましょう。
②スイミング・水中エクササイズ
スイミングをする時も同じで、自分のペースで休憩を入れて泳ぐのも効果的です。
③サイクリング
これも有酸素運動のひとつです。
普段買い物に行くときに車を使っていた人は、自転車や徒歩で行くようにしましょう。
自転車に乗ると風を感じるので爽やかな気分になりますし、ペダルを漕ぐので太ももの強化にもなります。
買い物以外でも通ったことのない道へ入って行くのも楽しいと思います。
新鮮な空気を吸って行える屋外のほうができればお勧めです。
天気が悪い日や、体調が悪くてウォーキングは出来ないけどちょっとした運動はできると言う時は、
④トレッチ、ラジオ体操
正しい方法ですればジワッと汗ばむ位になります。
⑤踏み台昇降
これだけでも十分有酸素運動になります。
自宅にあるちょうどいい高さの台があればすぐにでもできます。
有酸素運動をしながら下半身の強化にもなりますしテレビを観ながらでもできるので、苦痛にならないでしょう。
無理をせずに少しずつ時間や強度を伸ばしていってください。
ストレスを溜めない生活
ストレス解消法は人それぞれです。
どれがストレス解消なのか分からないと言う時は、自分は何をしている時が一番楽しいか、何をするのが好きなのかを考えれば、思いつくでしょう。
自分が楽しい時間を過ごせる事柄を見つけてください。
要は自分の思いと違ったことが起こるためストレスが溜まるので、その事柄を悶々と考え込むのではなく、その感情から離れてみることが大切なのです。
一旦離れて気分転換することによって気持ちがすっきりするので、先ほどの出来事を振り返っても意外と簡単に解決したり、客観的に見れることが出来るようになるのです。
◆スッキリ系解消法
ネガティブな感情でいる時に、逆に心がワクワクするような行動や想像が心と脳をスッキリさせてくれます。
①スポーツをして汗をかく
スポーツをする場合は、自分の好きな種目を選びましょう。
初挑戦もいいのですが、なかなか上達できず、更にストレスが溜まることもあります。
②カラオケに行ってみる
カラオケも友達と行ってワイワイ騒ぐのもいいですし、一人カラオケで歌い続けるのもいいでしょう。
◆癒し系解消法
癒されると言うのは人間の五感を刺激することで発せられる感情です。
①美術館、コンサートへ行く
絵画や美術品が好きな人は美術館へ行くと視覚で「きれい」と感じ心が和むのです。
またコンサートへ行けば、自分の好きな音色で聴覚を刺激することによって癒され、活力が出てきます。
②公園など緑が多い場所へ行く
全ての植物が出している香り成分、花の香だけではなく木や葉の自然の香りが元となっています。
お風呂好きの人は「ひのき」の香りでホッとしませんか?
これらは臭覚が刺激されることによって癒されるのです。
③景色がきれいな場所でお茶やランチをする
この例はダブル効果で、外の風景を見て癒され美味しいものを食べて味覚を刺激します。
ポジティブな思考に切り替えてストレスを解消するか、五感を使って解消するかは性格や状況によって様々です。
独自のストレス解消法を見つけてみるのもいいでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
テロメアを長く維持させるような生活を送っていれば、寿命が延びるかもしれないと言うことですね。
今までずっと体にいい食事、適度な運動、ストレス溜め込まない これが長寿の秘訣と言われてきました。
長寿の秘訣とはテロメアを伸ばすことだったのです。
ですので今まで長生きをするために心がけて生活を送ってきた人はこのまま続けていればテロメアの長さを維持することができ、長生きできる可能性が高まっていると言うことです。
これまでの生活を振り返り、食事や運動で見直す部分はないか、もっといいストレス解消法はないかを考えてみて、今後も続けていくのがベストだと言えます。
まずは簡単にできる事から始めませんか?